先週、ひどく怖い目に合ったので久し振りに投下。
Horror Cam Pic (2)

先週の月曜日、たまたま名古屋に帰ってきていたケイさんと飲みに行った。
相変わらずのアル中っぷりで20分もしないうちにビールジョッキは既に8コも空になっていた。
その飲みっぷりのほうがオカルトな気がする。

今は九州の小さな病院で働いているというケイさんに、俺は懲りずに怖い話をせがんだ。 
ビビりのくせにオカルトが好きという致命的な馬鹿が俺である。
そしてやはり、それがいけなかった。

「心霊スポットでも勝手に行け。」
恐怖は勝手にひとりで直に体験しろ、とでも言うようにケイさんはめんどくさそうに俺をあしらった。 
しかし、俺も酔っ払ってたので、引き下がらずに「じゃあケイさん連れてってください」と食い下がった。
目茶苦茶ウザがっていたケイさんだが、今日の飲み代をおごると言うと嫌々ながらOKした。

このとき何故ビビりな俺があんなにしつこく恐怖を求めたのか、今になってみるとわからない。
が、取りあえずあの時点でやめておけばよかったとかなり後悔はしている。

そして次の日、二人乗りの赤いバイクに乗ったケイさんが俺を迎えに寮まできた。
行く場所は地元じゃ有名な心霊スポットのトンネル。
俺は後ろに乗り、バイクは勢いよく走り出した。
途中のガードレールやなんかに花束が添えられている。 
中にはそこで亡くなったであろう人の写真なんかもあり、すごく気味が悪かった。

そしてしばらく走り、トンネルが目前に控えてきた頃。
突然ケイさんが何かを叫び出した。

「…!!!!……!!」

しかし風の音で何も聞こえず、俺は聞き返した。

「なんですかー!!!!???」

「…ろ…を…!!!!な!!!!」

「し…を…るな…!!!」



「 う し ろ を み る な !!!!! 」



ハッキリと、聞こえた。そして次の瞬間全身を寒気が襲った。
俺は、サイドミラーに映るものを見てしまった。

「うわあぁぁあぁ!!!」

俺は絶叫した。
サイドミラーに映る俺の腰あたりから、長い長い黒髪が見えている。
ゆらゆらと風に揺れながら。
そして俺の腰を撫でるように見えた土気色のひび割れた手…。

「嫌だあぁあぁああっ!!!!!」

俺は無我夢中で腰周りを手で払った。
しかし手には何かあたる感触はしない。
ただミラーに映る手は段々と俺の腰から胸元に移動していき、長い黒髪は狂ったように風に揺れている。

「ケイさあぁあん!!助けてくださいぃいぃい!!!!」

俺はケイさんにしがみつき、絶叫した。
ケイさんは「お前もう死ねクソ野郎!!!」と叫ぶと、ものすごくスピードをあげてトンネルを突き抜けた。
その運転も恐怖だった。

トンネルを出てどっかのコンビニにバイクを止めると、ケイさんは息を荒くして俺の腰周りを手で払った。
パンパンとはたかれるたびに泥のような砂のようなものが俺の背中から落ちてきた。
それはあの土気色の手を思い出させて、目茶苦茶気持ち悪かった。

「取りあえず顔洗って、塩気強いモン買って来て食え。てゆうか俺の前から消えろ。」

とケイさんは言った。

「あと、しばらく絶対振り向くな」と。

振り向いたらあの黒髪と土気色の手の主がいるような気がして怖かったので、もちろん振り向けなかった。
あの手の主が何なのかはわからないが、決して良いものではないのは確かだ。
取りあえず俺は恐怖で足をガクガクさせながらもフラフラとコンビニに入り、トイレを借りて顔を洗った。
そしてうす塩味のポテトチップスを買って、コンビニを出た。
そこに、ケイさんはもういなかった。バイクごと跡形もなく。
つまりは置いていかれたわけだが。
取りあえず二度とケイさんと心霊スポットには行かないと心に誓った。 


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