大学生のとき、派遣のバイトをしてたのだが、そこで知り合ったAさんから聞いた話。
Horror Cam Pic

Aさんは俺より一回り歳上だった。
一週間の現場で仲良くなり、ある夜仕事帰りに飲みにいった。
まあ、ちょっとヤンチャな雰囲気のある人だったので、酔ったあとは予想通り武勇伝をたんまり聞かされたのだが、そのなかで印象的な話があった。

Aさんは若いころ、チンピラ崩れのような生活をしており、一時期外国人Bと組んで空き巣を働いていたという。
空き巣といっても今のようなプロ集団ではなく、いきあたりばったりで、アパートなどに侵入し、金目のものを適当に盗んでそれをブランド質屋に売る、といった小悪党をしていたらしい。

ある日、狙いをつけた部屋の若い女が出勤したのを見計らうと、Bが窓の鍵をこわし、部屋に侵入した。
適当に家探しし始めると、すぐに妙な箇所に出くわした。
部屋の一角がカーテンで不自然にしきられていた。

Aさんはカーテンを引き中を見て驚いた。
なにやら立派な祭壇のようなものが作られており、沢山のよくわからない器具が綺麗に置かれていた。
器具は折り紙のようなものや、金属製の手術用具のようなものまで、見たことのないものばかりだった。

物珍しさもあり、Bを呼び簡単に捜索すると、おかしなものが多数出てきた。
個人情報が、病院で書かされる問診票のようなものにまとめられ、何十人分にもなっているファイル、顔写真やスナップ写真をまとめたアルバム、どの写真も顔を赤丸で囲んでいる何語かわからない文で書かれている辞書のような古い厚い本や、何枚もの小皿に乗せられた乾燥した草や、様々な干し肉のようなものなど。

ピンときた。
呪いだ、これは呪いをやっている。

Bが変わった形の器具を欲しがるのを制し、この部屋はまずい、仕事は中止しようと説得した。
憮然とするBを無理やり引っ張り、なにも盗らず帰ったとか。
あの部屋からは何か得体の知れない悪意を感じた。
日本特有のジメッとした悪意というか、とにかく不吉を感じた。
不安だったのが、窓を壊してしまったため、家主に空き巣の存在が必ずバレることだ。
慌てて出てきたため、隠滅も出来ていないかもしれない。

しばらく不安な日々を過ごしたが、特に何もなく無事だった。
Bとは少し距離を置くようにしたという。
というのも、Bは懲りずにまたあの部屋に忍び込んだらしく、珍しい器具や現金を盗んできたらしい。
あれほどやめておけといったのに、こいつと行動していると危ない、と感じたとか。

Bはそれからしばらくしたあと、ある裏社会VIPの息子とひょんなことから喧嘩になり、重い後遺症が残るほど叩きのめしてしまったという。
まあ、高飛びしたのか消されたのかわからないが、Bの姿はなくなった。
喧嘩が非常に弱い男だったので、不自然に感じたが関わるのはやめた。

個人情報や写真の資料の扱いかたから、私怨でやっているのではなく、商売でやっているのではないか…そう言っていた。


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