大学のころの話。
大学内にはちょっと同学年に有名な変な女の子がいた。
彼女はティディベアのぬいぐるみを持って歩いたり、
日によって髪の長さが違ったり、軍服ベレー帽で現れたり、
学業はとても真面目で成績は良かった。
3年の終わりごろ、
就職活動でバタバタしはじめたころから
彼女は少しおかしくなり、
それまで自己完結していた奇行が周囲にあふれ出した。
自宅から通っているはずなのに、
深夜に大学にいるのが目撃されたり、
大学横の林の中をダッシュしている姿が目撃されたりした。
そして試験前のある日、
私が友人と図書館に行くと、
なぜか彼女は本を本棚から出して並べていた。
大きさ順に分類分けし、
次は太さ順に分類わけ。
何してるの?と思ったけど、
聞けるほど仲良くもなかったので
友達と
「あれなんだと思う?」
事務員さんは遠くから見守っていた。
すごいのは、
その本をまた元に戻したんだけど、
どの本がどの順番で並んでいたか記憶しているらしく
「違う、この本の隣はこれ…この棚には21冊…」
とつぶやきながら完璧に元通りにしていた。
大学内の石造りの階段を
犬みたいに手をついて駆け上がったりした挙句、
食堂に置かれていたしょうゆとソース(小さい容器の)を
一気飲みしてゲロり事務員さんに頭と足を持って運ばれていった。
それ以来卒業式まで姿を見なかった。
書くと面白そうだけど、実際は怖かった。
人の少ない時間に階段を上ってて、
四つんばいで階段上ってくる彼女と
あったりするともう…