(S)がいて、
Sの家で男8人で飲むことになった。
20080223200318

8畳半ほどの広さに
コタツやら仏壇がある和室が会場になった。

そこにコタツの一辺に2人ずつ8人が座ったが
コタツがでかい為、若干狭い。

特に自分の席は
20センチ後ろがすぐ二重になった障子と窓ガラスですごく狭い。

ただ酒が入り盛り上がってくれば
狭さは全然気にならなかった。

その日早い時間から集まっていたのもあって
日付が変わった頃には話題も減ってきた。

飽きてきた自分は

「じゃあ怖い話しようぜ」

と切り出した。

テレビも消し明かりは豆電球の一つにし、
怖い話を始めた。

一人ずつ順番で話していたが
案外話は尽きないもので、
気付くと2時間半が経ち3時になっていた。

この時間になると
さすがに数人が眠気を訴えてきた為、
あといくつか話したら寝ようということになった。

『ある日知らない人が訪ねてきて、
玄関の前で何も言わず立ったままでいた。
その人は無言の代わりに質問の返事がYESなら1回、
NOなら0回ノックで返事を返してきた。
いくつか質問を繰り返した末
“あなたはこの世の存在ではないのか?”
と質問すると
壁から天井、部屋中が激しくノックされる』

という話を友達がした。

この話はみんなよく聞くらしく反応は薄く、
すぐに次の人の番になった。

今思えば、この時の反応が
この後起こったことの原因だったのかもしれない。

次は自分の番だった。

自分は

『10年以上前の夏の深夜、
山形の山奥にあるペンション地域に狂った女が現れ、
一晩中叫び走り続けた挙げ句、
翌朝近くの森にて原因不明の変死を遂げていた』

という実際に知り合いが体験した話をした。


事件はその直後に起きた。

自分が

「…変死を遂げていたんだ」

と言い終わった瞬間、

自分の真後ろにある窓ガラスが

ガチャガチャガチャガチャ

と物凄い音で鳴り出したのだ。

そしてその音は近付いてきた。

バチャバチャバチャバチャ

と窓ガラスと一緒に今度は障子が音をたて始めたのだ。

薄暗い部屋で鳴り響く障子と窓ガラス。

自分は驚きと恐怖で頭が真っ白になっていた。

どうしても真後ろで起こっている事態を
怪奇なものとして認めるのが嫌だった自分は、
強がって振る舞おうとした。

しかしその瞬間、

ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!

全員悲鳴をあげた。

なんと部屋中の壁から物凄い音が聞こえ、
それと共に揺れだしたのだ。

例えると、壊れて映らなくなったブラウン管テレビを
思いっきり叩くような音だった。

全員が言葉を失った。

自分は失神寸前だった。

最初の窓ガラスの音から15秒程して、
音と揺れは止んだ。

すぐテレビを付けるも地震速報はなかった。

規模の大きさやSの性格からして
Sの仕込みではないことは明らかだった。

霊を信じない友達含め全員が

『気のせいじゃなく確実に何かが起きていた』



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