ちょうど3年前の話。
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「やっぱ夏は肝試しだろ!?」
という私の思いつきで、友人のH、Mと事故で死人が出たばかりのトンネルへ遊びに行きました。

そこは車で15分くらいの地元でも有名な心霊スポットで、
酒の入った私たちのテンションはMAXでした。
着いて真っ先に目に入ったのは、花と線香とジュースとお菓子。
死んだのは20代くらいの男性だったらしいです。

一応私たちも持っていた缶チューハイとつまみを供えて、
「呪わんで下さいね~」
なんて言いながら道の際に車を停め、トンネルへ歩いて入っていったんです。

ですが予想に反し、夜中にも関わらず交通量の凄まじいこと。
私たちが期待していたものは全く現れそうにありません。

「おいおい!こんなんで幽霊見れんのかよ!!」「成仏しとんじゃね?」「ツマンネ」
などと言いながらまた3人で車へ引き返すと、
その路駐させている車の向こうに背の高い草に挟まれた道があるのが見えました。

これは行くしかない!!
私たち3人は本当にバカでした。ただ単に怖いもの見たさと好奇心で、
人がやっと通れるほどの細い道を進んでいったんです。

で、結構歩いた先にあったのはお約束とも思えるおんぼろ廃墟。
バカのテンションはMAX。
「これは絶対出るやろ!!」「なんやここ!!寺か!?」「やべぇ!絶対出るって!!ww」
誰も止めないんで、もうやりたい放題して廃墟の探索をおっぱじめました。

ですが廃墟…とはいったものの、私の住んでる田舎ではよく見る物置小屋で、
農具とか、そういったどこの家にでもあるようなものが置かれているだけでした。
でも窓は割れていたし、鍵もかかってなかったので廃墟と勝手に決めつけて探索していたんです。
すると…ガシャンという音がした後、Mがぶっ倒れました。

私もHも冗談半分に「転んでんちゃうぞマヌケww」やら「お前モノ壊したら弁償やけんなww」
などとからかっていると、M。
「足首掴まれた!!」そう急いで起き上がって叫びました。

Hは「あほか」と飽きれ気味に言っていましたが、
どうしても幽霊の見てみたい私は「まじか!?掴まれたん!?どこで!?」
などと一頻り聞いた後、Mの指差す方を携帯の画面で照らしました。

…で、あったものもお約束。
お札の貼られた葛篭。

そして間髪入れずに札を引っぺがし、中身を床へぶちまけるH。
これには流石のMもドン引きしていました。

ですが床へぶちまけられた葛篭の中身、
おんぼろの市松人形(?)らしきもの以外は可愛らしいもので、
おはじき、ビー玉、お手玉、筆、あとはなんか…人の形に切り抜かれた紙?
まぁ携帯の明かりでしか見ていませんが、かなりねんきの入ったものに見えました。

するとM。「お手玉とか…もし封印されとったんが俺らんトコに出てきても、あんま怖くなさげやなww」
私。「今日、布団の中に出てくるのは幼女かもなww座敷童的なww」
そんなバカ二人でキャッキャウフフな話をしていると、Hが冷静に一言。
「おかしい」
私もMも顔を見合わせて「はぁ?」なんて言いましたが、Hが言うには

・他のお手玉だか人形だかはかなり古いのに、この人の形しとる紙だけ真新しい。作ったばっかみたいや。
・そもそも座敷童をこんな厳重に封印すっか?
・あとこの紙切れに字ぃ書いてあるけど、血じゃね?

以上のことを冷静に聞き入れ、私たち3人は悲鳴を上げながら走って車まで帰りました。
そんで車に乗って、電気の下で自分の腕見てびっくり。
なんとその紙人形が貼り付いていました。

急いで引き剥がしましたが、紙人形についていたであろう血が私の腕にまでついて半狂乱状態。
ですが家に着く頃にはその血も擦りまくったせいで見えなくなってしまい、
私もMも大人しくその日は家へ帰ることにしました。

…で。問題は家へ帰った後。
愛犬に吼えられまくるし、風呂に入ったら窓の向こうに人影が見えるし。
え?まじで憑いたの?
なんて期待半分、不安半分の状態で布団へ入り、少しうとうとし始めた時。

出ました。

赤い着物を着て、おかっぱ頭の前髪を可愛らしい紐で縛った色の白いお人形さんのような幼女。

ではなく、

くすんだ着物を着、髪は長く真っ青な顔をしていたガリッガリの男。
そいつが枕元で自分を見下ろしているんです。

私「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」←本当にこんなカンジ悲鳴が出ました。

幸い金縛りにはかかっておらず、
私は転がるように部屋から脱出したのですがその日は他の家族がいなかった…

怖すぎて家にいることもできず、素足のまま外へ飛び出して一番家の近い友人宅へ転がり込み、
「南無阿弥陀仏」を唱えながら一晩過ごしました。
(その友人からしたらいい迷惑だったでしょうね)
そして表が明るくなると急いで外へ飛び出し、知人が神主を務める神社へ転がり込んだんです。

するとその神主さん、私を見るなり凄く険しい顔を。
「ホント朝早くからすんません!!なんか、その昨日男が立っとって…」
あの時の自分は何を言っているのか全く分からなかったと思います。

ぶっちゃけ、何を言ったのか今でも思い出せませんから。
そして私の話を黙って聞いてくれていた神主さんは、
「腕のアザどうしたの?」そう私が落ち着くと優しく聞いてくれました。

私「アザ…?」 神主「そうそう、右手腕の」
一応確認しましたが、そんなものどこにもありません。

神主「…なんか、右腕に変なもん触らなかった?」
心当たりは一発で思い浮かびました。昨日、あの紙人形は右腕に貼りついたんです。

泣きそうになりながら昨日の肝試しのことと、葛篭のお札のこと、あと紙人形のことを説明すると、
神主さんは一度深く考えた後に神社の奥へ戻り、少したってからまた戻ってきました。

なんか…棒の先に紙?みたいなのが付いた埃叩きのような
神主ステッキ(私たちはこう呼んでいます)を持って。
そして私の右腕を掴んでぺしぺししたり、呪文唱えたり、
なんか酒みたいなのかけたりしこたまやった後、
「…無理」
絶望的な言葉をぼそっと言いました。

なんでも、神主さんじゃ手に負えないとか。
どうやってもアザが消えないとか。
私の守護霊様が消えちゃってるとか
守護霊が消えたらどうにもならないとか…
そんなことを沢山言っていたような気がします。

「…ごめんね」
神社を出る時、神主さんの方が半泣きになりながら、
最後には私に全種類のお守りを持たせてくれました。

本当に申し訳ないことをしたと思いましたが、
これから、自分はあと何年生きられるのか切実に不安になりました。
「大丈夫!お守りがあったら3ヵ月は持つから!!」
その言葉が本当に苦しかった…。

     


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