ある夏、従業員が寮で自殺をしていました。
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悪い偶然が重なり、発見されたのは死後2週間以上を経過していて、

クーラーをつけていなかった締め切った部屋は熱気と腐臭でむせかるようで、第一発見者の部下は、未だにその時のことを夢に見るそうです。

従業員の体は半分溶け、既に判別のつかない顔からは骨が見えていました。

「事故物件」にしたくない不動産屋と、慣れた警察は、その従業員の自殺をあっという間に「病死」で片付けました。

でも、わたしはそれが病死ではないことを知っていました。

昔から霊感が強い方だとは言われていたし、

子供の頃には見たくもないものが見えたり聞こえたりすることはよくあったのですが、大人になってからは仕事に忙殺されて、そんなことすっかり忘れていたんです。

霊は湿度の高い場所に集まりやすいから、水場は綺麗にしておく。

…そんな話を聞いたことはないですか?

あれ、本当です。

ある日突然、自宅の風呂場に入れなくなりました。

分かりやすく言うと、入ろうとすると腰の辺りから物凄い勢いでゾゾゾゾゾっと悪寒が立ち上り、何かが見えたり聞こえたりする訳ではないのですが、

「ここには入っちゃダメ」と、本能的な危険信号が灯るのです。

そして同時に、毎晩のように金縛りにあうようになり、うっすらと女性のような人影が、後悔をまとったような、何とも言えない感じでわたしの部屋の隅に佇んでいるようでした。

それが何故女性で、何故後悔しているように感じたのか、問われると答えるのが難しいのですが、そう感じたのです。

いわゆる心霊スポットのような場所に立ち入った記憶はないし、

「何故ウチに?」

という疑問を抱きつつ、仕事もあるし、お風呂に入らない訳にはいかないし、一週間ほど、自宅以外の場所で何とかお風呂を済ませていました。

いつまでもそんなことをしている訳にもいかないし、どうしたものかと寝不足の頭を抱えていたところ、会社の寮を管理している部下のひとりに、その寮に入っている従業員のひとりと連絡が取れない

…と報告を受けました。

若い女性の従業員。

わたしの部屋に毎夜訪れる、後悔をまとったような女性の人影。

嫌な予感がしました。

そして、その予感は的中しました。

彼女の死亡を確認したその日を境に、自宅の風呂場にはすんなりと入れるようになり、金縛りもなくなりました。

代わりに。

彼女が亡くなっていた部屋は解約したのですが、同じマンション内の寮に住む別の従業員が言いました。

「あの部屋…やっぱり何か出るみたいなんですよ。管理会社の人が言ってました。お祓いすることになってみたいで、昨日、お坊さんが入って行くのを見ましたよ。中からお経も聞こえて来て…。でも、事故物件扱いにならないんですよね?次に住む人、ちょっと可哀相ですよね。」

立地の良い場所にある、最新の設備が揃ったデザイナーズマンションです。

その割に、ちょっと安いかも知れません。

入居者が決まっても瞬く間に引っ越してしまうらしく、今も空室のようなので、これからお部屋を探す方は、どうか気を付けて。

     


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