中学生の頃の話。
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俺は授業中にいつも机にうつぶせになって寝ているのだが、
時折その状態の時に

「周囲の風景が360度見渡せる状態」

になることがある。

体中が目になっているようなもので、
まあそれも夢だろうと言われればそれまでなのだが。

ところがその状態の時はどうも霊に対して弱いらしくて、
この日はタチの悪いのに背後にくっつかれてしまった。

そいつは俺の中学の制服を着た女子で、
背後に多いかぶさり、
どういうわけか俺のうなじに何かを呟き続けている。

それをされると全身が総毛立ち、
何ともいえない嫌な気分になるのだ。

しかも動けない。

だが丁度その時、
教師が近くに歩いてきたのを切欠にして
無理やり金縛りを解くことに成功した。

そこまではよかったんだ。

それで終わったと思ったんだけど、
その後の休み時間に背後から

「○○さん」

と苗字で呼ばれたんだ。

「ん?」

と振り返ったら、
そこにはロッカーがあるだけ…誰も居ない。

それは、

「きいたこともない知らない子の声」

だった。

その日の放課後、友達が

「また明日ー」

と言いながら下の階へ降りていくのを見送った。

その直後だった。

「ねえ、○○」

…友達の声だ。

あだ名で呼ばれた。

そいつが戻ってきたんだと思い

「どうした?」

と声をかけたのだが、
そいつは下の階できょとんとして

「何が?」

…二度目は「友達の声」だった。

なんだか嫌な感じがした。

不気味な話なんだが、
段々と近しい存在になってきているみたいでさ。

コレ最終段階になるとどうなるんだろう、
って思ってたら、数週間後の日曜にそれは来た。

部屋で布団も敷かずにゴロ寝してたら、来たんだ…

あの「360度見える状態」が。

そして、ヤツもそれを狙っていたように現れた。

ゾッとしたよ。

だって、俺と背後の押入れの間の、
凄い細い隙間に密着して挟まってるんだよ。

そいつの顔が見えた時はもっとゾッとしたけど。

そいつ、俺の母親の顔になってたんだ。

しかも水死体みたいに青くブクブクに膨れてて、
唇がカサカサにめくれ上がってる。

自分の母親のそんな顔を想像してみろよ。

…で、そいつは、
最初の時と同じように俺のうなじに唇を押し付け、
前よりも聞き取れないぐらいの高速で喋っていた。

なんかの呪文っぽいのを。

これまでにない強さで息が出来ないくらい金縛られてたんだけど、
その呪文が続くにつれて俺の方がなんか耐え切れなくなってきたんだ。

それで決死の覚悟で跳ね起きたら、
嘘みたいに居なくなってた。

あいつ、何しようとしてたんだろう。

俺なりにこれが一番怖い話ですた。

     


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