Horror Cam Pic

俺は本で読んで以来、
アカマネという得体の知れない物の
怪の話を集めている。
 
 
アカマネとは、読んで字のごとく『赤真似』。
これは全国津々浦々で目撃されているらしい。 


ある人が引越しして間もない昼間、
チャイムが鳴った。 
引っ越してきたばかりで知り合いもなく、
尋ねてくる人の心当たりもなかった。 
厄介なセールスだと困るので、
ドアスコープから様子を伺うと、誰もいない。 


おかしいな……と思いながらも部屋に戻ると、
またピンポーンとチャイムが鳴る。 
再びドアスコープを覗いても誰もいない。

そして部屋に戻ると、
またピンポーンとチャイムが鳴る。 


そうだ、と思い立ち、
玄関が見える部屋に行き、
カーテンを開けて玄関を覗き見た。 

そしてチャイムが鳴る。
ドアの前に立っていたのは、
真っ赤な色をした人型のものだったという。 

うわ、と思ってすぐに顔を引っ込めたが、
そのときまたピンポーン……
とチャイムが鳴った。 

一体アレはなんなんだ?と思うと、
怖くてたまらない。
チャイムが鳴る度に体が竦んだと言う。 
あんなものに気づかれたらどうしよう。
そう思って子供部屋を出て、絶句した。 


玄関の上にある採光用の窓に、
赤い頭と手が張り付いていたのだという。 
身長が二メートル以上ある! 


どうしよう、と思った瞬間、
外に出ていた娘さんが帰宅した。 
驚いて「大丈夫だった?」と聞くと、
「何が?」と笑われたという。

数日後、友人夫婦が引っ越し祝いに来てくれた。 
玄関に行ってみると、旦那さん一人しかいない。
「奥さんは?」と聞くと、
旦那さんは「わからん」と首をかしげた。 

「俺をマンションの下に降ろしたら、
慌てて自分だけ帰ってしまった」と言って、
怪訝な顔をしたという。 


やがて、宴もたけなわとなった。


やっぱり奥さんに来てほしいその人は、
奥さんに電話してみた。 
すると、奥さんは『言いにくいんだけど……』
と前置きして、こんなことを言った。 


『あなたの部屋の前に大きくて真っ赤な人間がいて、
体をくの字に曲げて中を覗き込んでるの。
主人には見えなかったみたいだけど、
私は怖くて帰っちゃったの』

このことを知人に相談すると、
「火事の前兆かもしれない」と言われたので、
しばらく火元に気をつけて生活した。 

しかし、結局火事は起こらず、
その赤い人間がまた現れることはなかった。



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