高校生1年の時、
遅刻して全校集会に出はぐれた。
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今更全校生徒、
教員が集まる静まり返った体育館に入れず
屋上に続く階段で一人MDプレイヤーで音楽を聴いていた

ほんの少しの遅刻だったので
集会はまだまだ終わらないだろうと
壁に寄り掛かり居眠りをした

暫くすると
イヤホンから聞こえる曲の遠くから
異質な音が耳に届いた

段々と近付いてくる音は
大勢の人間が読経をあげている声だった

驚いて立ち上がり
イヤホンを外しても読経は止まず、
なおも近付くばかり

屋上に出ようかと
ドアノブに手を掛けたがカギが掛かっていた

軽くパニックになった私は
目を瞑り耳を塞ぎ何故か

「ごめんなさい」

と繰り返した

読経の声が目の前に来た時、
肩をたたかれ気を失いそうになったが
顔を上げると同じ制服を着た生きた人間の女の子だった

上履きの色から同じ学年である事はわかったが
入学間もなく15クラスもある事から
私達は互いに初対面だった

彼女も同じく遅刻し、
暇をつぶそうとここへ来て
頭を抱えて謝り続ける私を見つけたらしい

今の出来事を話し震える私を
彼女は宥めてくれた

やがて集会が終わったらしく
1階からザワザワと話し声が登ってきた

彼女は「知り合った記念に」と、
このままどこかへ遊びに行こうと言った

さっきの恐怖から学校にいたくなかった私は
二つ返事で誘いにのった

そこに中学校から仲のいいAが

「やっぱりここにいたか」

と顔を出した

私はAも一緒に行かないかと誘おうと思った

Aは何故かうつむき視線が定まっていない

「Aーどうしたの?」

と他の友達が4、5人やってきた

「皆で今からカラオケ行かない?」

と私が言うと

「すぐに小テストがあるよ」

と一人が言った

今は諦めて放課後にしようかと
彼女の方に振り返ると彼女はいなかった

Aには私が見た彼女とはまったく別の姿で見えたらしいけど
それがどんな姿だったか未だに教えてくれない

霊感のない私が体験した唯一の不思議体験でした

     


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