Horror Cam Pic

これは、ある男が転勤で地方のアパートに
住み始めた頃に経験した話である。
 

その部屋は1階の角部屋で、
6畳2部屋の2DKの間取り。
いわくつき物件でもなく、
特に何の問題もなく暮らしていた。

ところがある日、
突然おかしな現象が起こるようになった。
寝室で寝ていると、
リビングから話し声が聞こえる。

最初は隣の部屋から
聞こえるものだとごまかしていた。

しかし、明らかにリビングから聞こえるのだ。
男は幽霊を信じるタイプではないし、
もちろん霊感もなかった。

こういうのは気にしないのが一番だと思い、
話し声が聞こえてもなるべく怖いことを考えないようにした。
電気もつけっぱなしで寝るようにした。

そんな状態が2週間ほど続くと、
さすがに恐ろしくなってしまい、
精神的におかしくなりそうだった。

仕事が終わると友人や同僚の家に転がり込んで、
家に帰らない日々が続く。

はじめは信じてくれないだろうと思ったが、
学生時代からの友人に話すと親身に話を聞いてくれて、
一緒にアパートへ来てくれることになった。

友人がドアノブをまわそうとした瞬間…
ふとその手が止まった。



「部屋の中で誰かがノブをまわしたよ」



友人は咄嗟にドアノブから手を離した。
男は鳥肌が立った。

部屋のほうからドアノブをまわしている誰かがいる。
ガチャガチャと動くドアノブ。
男たちを部屋に入れないようにしているのか…。

友人と男は怖くなってその場にいられなくなり、
走ってアパートを飛び出した。

近くの公園で落ち着いて考えてみた。
幽霊とは限らない。
もしかしたら空き巣かもしれない。
そう思って友人と警察へ行くことにした。

「部屋に誰かいるようで空き巣かもしれないんです」
と言うと、お巡りさんが一緒に
部屋まで来てくれることになった。

連絡を受けてアパートの管理人も来ることになり、
4人で部屋へ向かった。
今度は先ほどのようなことはなく、
普通にドアノブをまわして部屋に入った。

空き巣に荒らされた形跡はないか、
盗まれたものはないか入念にチェックしたが、
どうやら空き巣ではないようだ。

お巡りさんはまた何かあれば連絡してくれ、
と言って、戻っていった。
男は管理人に自分がこの部屋で体験したことをすべて話し、
この部屋のことを教えてくれと言った。

しかし、管理人は何も心当たりがないという。
確かにいわくつき物件はあるが、
このアパートは特に何も起こっていないし、
今までウワサも聞いたことがないらしい。
管理人が話し終わったその瞬間…



ガチャガチャという音が聞こえた。



思わずドアのほうを向くと、
そこには誰もいないのにドアノブが動いていた。

ここにはもう住めない。
男はすぐに引越しをすることに決めた。
とにかく早くこの部屋から出たかった。

友人は今でもあのときのドアノブの感覚が忘れられず、
ドアノブが怖くてつかめないらしい。

男も引越してからだいぶ落ち着いたが、
いまだにドアノブを見ると怖くてたまらないのだ。
 


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